木田金次郎(1893-1962)は、東京からも、札幌からも遠く離れた岩内の地で、一貫して制作を行ってきました。画壇とも距離を置いていた木田が、岩内で画業を全うすることができたのは、風光明媚な岩内の風土と、自身の確固たる意志に加え、自ら幅広くアンテナを張って、同時代の美術の思潮を吸収しようと、書籍を通じて知識や情報を得ていたことによると思われます。
このほど木田金次郎美術館では、木田の自宅アトリエに置かれていた蔵書など、多くの資料をご遺族から預かりました。いずれも画家の手もとにあった資料として、非常に貴重なものです。これらを読み解いていくと、木田が何を読んできたか、その思索の一端を垣間見ることができ、また、美術の分野に限らない、木田の幅広い人物交流の様子もうかがい知ることが可能となりました。
今回の展覧会では、昨年11月より開催して参りました「木田金次郎の本棚」が好評いただきましたので、会期を延長して「Part2」とし、一部作品の入れ替えと、初公開作品を紹介してご覧いただきます。木田が読んできたものに触れ、美術館活動の中で寄せられた図書類も見ることができる機会です。新たな木田金次郎、そして木田金次郎美術館のイメージを紡いでいただければ幸いです。