1994(平成6)年に開館した木田金次郎美術館は、本年11月3日で開館20周年を迎えました。現在、油彩作品約150点の収蔵を数える当館も、開館当時は油彩90点の作品からスタートいたしました。この中には、開館の3年前に「発見」された作品が含まれています。
1991(平成3)年10月31日、木田文子夫人が74歳で逝去されました。葬儀終了後の11月12日、遺族や関係者が遺品整理のために木田宅に入り、文子夫人が封印し、誰も立ち入ることのなかった木田のアトリエから、未発表作品が相次いで「発見」されました。その数は、油彩20点、色紙137点、素描27点の計187点。このニュースは翌日の『北海道新聞』朝刊一面トップで報じられたほか、各放送局のニュースでも大きく取り上げられ、全道的に大きな反響を与えました。
当時は美術館建設に向けた動きが大詰めを迎えている最中であり、これら大量の作品の「発見」は、美術館建設への大きな後押しとなったばかりではなく、木田の作品や生涯について、大きなテーマをもたらすことになりました。
今回の展覧会では、開館20周年を迎えた今、あらためてこの「発見」の模様を、この時見つかった作品、報道された新聞紙面、アトリエを撮影した秘蔵映像から紹介します。加えて、美術館開館後に相次いで収蔵された作品を通して、当館20年の歩みをたどります。木田の生き方とともにドラマチックな当館の歩みを振り返っていただければ幸いです。