木田金次郎(1893-1962)は、有島武郎(1878-1923)の小説『生れ出づる悩み』の主人公のモデルとして広く知られています。ふたりが出会ったのは1910(明治43)年、まもなく100年を迎えようとしています。出会った当時、ふたりは二十代の大学講師と十代の青年でありましたが、のちにそれぞれ文学者と画家への道を歩み、木田は有島の期待と励ましを受け、岩内に根差した数多くの絵画作品を生み出しました。 この展覧会では、改修工事のために休館中の岩内町郷土館から、有島武郎関連の資料を移し、木田作品とともにご覧いただく初めての機会です。木田の画家としての歩みは、有島の没後であったために、資料と作品の年代は重なりませんが、有島の存在が木田や岩内にもたらした影響を十分に感じることができるでしょう。 「木田金次郎の交流圏」の原点ともいうべき、有島武郎との関わりについて、故郷・岩内で感じていただく機会となれば幸いです